いつも心にときめきを

ちょっとしたときめきをツラツラと。

夢(?)小説

夢小説とまではいかないけど、書いてたら楽しくなっちゃいました。





お兄ちゃんと妹と弟。(棗+弥)



「いーやー!てかげんしないでよーー!!」


夕飯の買い物から帰って玄関を開けると大きな声がリビングから聞こえてきた。
この声は弥ちゃん?
泣きそうな声にどうしたのかと急いでドアを開けるとそこには弥ちゃんともう一人、意外な人物がいた。


「棗さん?」
棗「ああ、お前か」
弥「お姉ちゃーーん!!」


うわーん、と泣きながら弥ちゃんは私の元に駆け寄って抱きついてきた。
そんな弥ちゃんを見て棗さんは困ったように顔を歪める。
それにしても弥ちゃんと棗さん二人だけなんて珍しい組み合わせ。


棗「弥、悪かったって今度はちゃんとやるから」
弥「なっくんさっきもそう言ってた!でもちゃんとやってくれなかった!」
棗「いや、そうだが…」
「あの、どうしたんですか?」


状況がイマイチ分からないので棗さんに聞いてみると、これだよと言ってテレビ画面を指差した。
大画面にはこの間発売されたアクションゲームが映し出されていた。


棗「弥に頼まれて持ってきたんだ。渡して帰るつもりだったんだが、雅兄が急に仕事に呼ばれて弥一人になるから見ててくれって言われてな」
「それでゲームの相手をしてたんですか」
棗「そういうこと」
弥「お姉ちゃん、なっくんひどいんだよ!!」


涙目になりながら私を見上げる弥ちゃん。
どうしたの?と聞くと、あのね、と必死に訴えてきた。


弥「なっくんてかげんするの!ホンキでたたかってくれないんだよ!!」


ボクは正々堂々と闘いたいのに!と頬を膨らます弥ちゃんに思わず可愛いと言いそうになり、慌てて口を閉じる。
そんな弥ちゃんの言葉に棗さんは「小学生相手に本気だせるかよ、大人気ねーだろ」と呟いていた。


弥「お姉ちゃん、なっくんにちゃんとたたかいなさい!って怒って!」
「え!?」
弥「なっくんお姉ちゃんには甘いってつっくんが言ってたから!」
棗「はぁ!?…椿のやつ弥に何言ってんだ」
弥「だからお姉ちゃんが怒ればなっくんホンキでたたかってくれる!」


お願い!とまた涙目で見上げられたら出来ないとは言えない。
助け舟を出してもらおうと棗さんを見ると、棗さんも私と同じように困ってるようだった。


(確かに年の離れた弟に本気なんか出せないよね…)


私だって弥ちゃんとゲームする時はある程度手加減する。
本気でやって、と言われたって相手が弥ちゃんだと…どういう結果になるかは目に見えている。
特に私や棗さんはゲームが得意だから尚更。


(棗さんは優しいから本気でやってって言われても手加減しちゃうだろうな)


かと言ってこのままでは埒が明かないので。


「弥ちゃん」
弥「なあに?」
「お姉ちゃんが弥ちゃんの変わりに、本気で戦ってくれない棗さんをコテンパンにしてあげる!」
棗「おい!」
弥「ホント!?わーい!お姉ちゃん頑張ってー!!」


はいこれ!、と弥ちゃんはさっきまでの涙目とは打って変わって満面の笑顔で私にコントローラーを渡してくれた。
画面の前に私が座ると棗さんはハァ…とため息をついて私に言った。


棗「お前、自分がやりたいだけだろ?」
「バレました?」
棗「当たり前だ、お前も好きだもんなこういうゲーム」
「実は弥ちゃんからこのゲーム棗さんに頼んだって聞いて楽しみにしてたんですよね」
棗「全く…人使い荒い妹と弟だ」


そう言いながらも棗さんの顔は優しくほころんでいた。


棗「お前相手なら手加減いらないよな?」
「一応初めてプレイするんですけど」
棗「どうせ事前にチェックして操作方法分かってるんだろ」


バレたか。
でも弥ちゃんの変わりと言ってしまった手前お姉ちゃんの威厳を立てるために手加減してもらった方が嬉しいんだけど。
でも棗さんは手加減する様子がなく、袖までまくり出したのでこれは本気だ。


弥「お姉ちゃん頑張ってね!なっくんコテンパンにしてね!!」
「うん、頑張るね」
棗「俺が買ったらもうゲーム持ってくるの無しな」
「「えぇ!?」」


突然の棗さんの言葉に、私と弥ちゃんの驚きの声がリビングに響いた。
その瞬間棗さんは思いっきり吹き出して笑い始めた。


棗「二人して想像通りのリアクションだな」
弥「お、お姉ちゃん!これはもうホントにホンキで頑張って!!」
「う、うん!ゲーム出来なくなっちゃうの嫌だもんね!」


弥ちゃんの代わりがいつの間にか事が大きくなってコントローラーを握る手に力が入る。
弥ちゃんもソワソワしながら私の隣に座っていた。
棗さんはそんな私たちを見て楽しそうに笑っている。

画面にREADY?の文字が表示されると弥ちゃんが叫んだ。


弥「いっけー!お姉ちゃーん!!」


今までにないくらい必死になってゲームをしていた私たち三人に、帰ってきた右京さんの雷が落ちるまであと少し。






お兄ちゃんな棗さんが好きです。
でも弟な棗さんも好きです。
13兄弟真ん中な棗さんが好きです。
結局棗さんが好きなんです。

一回アニメの予告で弥ちゃんと棗さんで絡んでるのがあってとっても可愛かったなーと思いました。

次は甘いの書きたいですね。